【霊視鑑定ご相談事例】「意図せず御神木となった木」を切ってしまった人とその顛末
始まりは、「なにか憑いていませんか」というよくある相談だった
「ふと思ったのですが、うちの子、頼まれて知り合いのお宅の庭の大木を切ったんです。それが原因ではないでしょうか」
最初は、突然自殺未遂をした子供について、「なにか憑いていませんか」というよくある相談だった。
私の見立てでは、その子は精神的に少し弱く、また、障りを寄せやすい体質。
しかもその障りが集まった環境に慣れすぎて、それが平常であり心地良いとすら思っている。
このタイプは例えクリアな状態にしても、また自分から障りを引き寄せてしまうだろう。
決してレアではなくちょくちょく見受けられる、少々困った気質の子だった。
霊が見える、感じる、全ての良くない事を霊障と考える。
地震が来れば、あの時の予感はコレだったんだ、とこじつけて騒ぐ。その手のタイプにはこの気質が多い。
にしてもである。今回の自殺未遂については霊障にしても事が大きかった。
何か感じる違和感と、大木
詳細は伏せるが、その方法が特殊だったのもある。
さすがに気のせいではなかった。
「うーん、何か神社で粗相したりしませんでしたか?」「いえ、うちの子は神社には行きませんよ」としばらくやり取りをしていると、ふと相手の方が思い出したように言った。
「自殺未遂をしたのは、知り合いの家の大木を切ったその直後だった」と。
住所を聞き、Googleマップを開く。便利な時代になったもんだ。
場所がより詳細に分かった方がイメージを拾いやすいので私はGoogleマップを愛用している。
結局現地には行かなくてはならないのだが、その前にイメージを取る為に必要なアイテムだ。
能力者とGoogleマップ、アナログとデジタル。奇妙な協力関係だ。
大木?土地の障り?……いや、この木は御神木だ。
「切った後にお酒等お供えしてあるのですが」
いや、これはお酒等のお供えレベルじゃ無理だよ…(苦笑)
その切り株からは、金色(こんじき)の気がガンガン噴き出している。
とても大きな素晴らしい気であるが、これは強すぎる。この気に触れ続けたら、普通の人間は気が狂って当たり前だ。
人を狂わせるのは悪い物だけではない。
「このままではこの家の住民にも影響が出るので、早めになんとかしたいのですが、許可は取れますか?」
折り返し電話が来た。
今からでも大丈夫との事。
今からって、今ってめちゃくちゃ深夜なんだが……。
「あー、めんどくさい……」
いつものセリフを吐いてから、私は着の身着のまま、さして身なりを整えもしないままそこへ向かった。
深夜に行う、封印の神事
「深夜にこのような格好で失礼します」
ボロ雑巾のような格好の私を怪しむでもなく招き入れてくれた住民の方々には感謝である。
切り株の前に案内されたが、やはり金色の気は枯れる気配もなく噴き出し続けていた。
何をするのだろうと少々ワクワクした顔で私を見ている住民の方々へ、
「あの、アレコレするのを見られるのは恥ずかしいのでお部屋でお待ち頂けると」とお願いし、中へ入ってもらって死角にポジションを取った。
私はカッコイイパフォーマンスは出来ないんだ。
見られるのだけは勘弁してくれ。
・この木は意図せず御神木化したこと
・根が地脈に触れたためにこうなったこと
・しかもなかなかの地脈であること
・井戸のように繋がり、その地脈のエネルギーが地上に噴き出す地点となった事
・つきましてはこの井戸(切り株)を塞ぎ、エネルギーを地中だけに流れるように戻す事
作業内容だけお伝えして、あとは中で10分程の待機をお願いした。
「龍には龍だろ」
地脈=龍脈ということで、眷属の龍の力を借りる事にした。
地の中を這う龍と、空からの龍。壮観だなあ。いつも思う。
龍の力強さは本当にカッコイイ。
「さて封印だ」
簡単に書いているが私は汗だくである。
気には気力。気力で負けたら私も終わりだ。
金色の気が出て来なくなるようにしっかりと蓋をした。
龍の地響きする鳴き声が地面の中へ消えていった。
君の道を邪魔して混乱させて悪かった。
10分後に全て完了したが、ごっそり気力を使い果たした私は顔面蒼白だったようで、住民の方々にえらく心配された。
上がってお茶でも。と言われたが、時間も時間なので謹んで辞退させて頂いた。
「もう大丈夫ですよ」
「この木は、近所の方に何本か分けて頂いて、家の数箇所に植えたのですが、何故かこの木だけ物凄いスピードで成長して、あっという間に信じられない大木になってしまって。それで近隣の方々から苦情もあり、切る事にしたのですが……」
そりゃあ地脈のエネルギーに触れたんだもんな。急成長するよ。
あっという間に4階建ての建物ぐらいに育ったらしい。凄いな。
切る前に見てみたかったな、と思う
思わず本音が漏れる。
「切る前に一度見てみたかったです」
いや、本当に見て見たかった。
意図せず御神木化した普通の木ってどんな感じだったんだろう。
そうして住民の方々に深夜に訪問した非礼をお詫びして車を出した。
途中コンビニでカフェラテを買う。疲れた時のカフェラテは最高だ。
その後、相談主に連絡をし、最後にひと仕事をして帰路についた。
気の影響を受けた子はそれから少しづつ元気になっていっているようだ。
依頼主はまだ心配で目が離せないようであるが、いくつになっても我が子は我が子だ。
心配で目が離せないという親心はとても良いものだと私は思う。