霊能者も幽霊が怖い!らしい。【霊能者が見るセカイ】
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ゴリゴリの霊能者の知人
ゴリゴリの霊能者と夜、電話で話していた。
内容が内容だったものだから、家人に配慮したのか、その相手は外に出て話していたようだ。
話の内容は忘れたが、大体この人と話すのは能力者としての話しかないので、まあ、近況の報告でもしていたのだろう。
私もその人も、能力者面においては「怖いモノ知らず」な面において同類だと、私はずっと思っていた。
が、しかし、大体一時間ぐらい話した頃だったろうか。
「ひっ・・・!」
その人が静かに悲鳴を上げた。
すわ(見えないモノからの)攻撃か、と身構え、どうした、何があった、と問いかけてみた。
するとその人は小声で話し出した。
「・・・・おじいちゃんがいる・・・・」
「ん?おじいちゃんですか?何か問題でも」
「・・・・生きてるか、分からない・・・」
「そうですか」
ゴリゴリの霊能者の意外な一言
「・・・・怖い・・・・」
「えっ」
「・・・・エレベーターの後ろの方から現れて、エレベーターの前に立ってる、怖い・・・・」
「確認してきたらどうですか?生きてるか幽霊か」
「・・・・いや、怖いし・・・・」
冗談かと思ったら本気だったようだ
なんの冗談だよ、と思ったので、私は特に気にもとめずに
「はあ?アナタ、ゴリゴリの霊能者ですよね?何ふざけた事言ってるんですかw冗談やめてくださいよw」
と笑いながら返答した。
「・・・・まだ動かない・・・・」
・・・まさか、本気で言ってるのか、この人。
「いやいやいや、お弟子さんまでついている人が何言ってるんですか!とっとと行って確認してきてくださいよ!!!!」
「・・・・ムリムリムリムリ!絶対無理!!!・・・・」
「はあ・・・お弟子さんが聞いたら呆れて泣くでしょうねえ、幽霊に怯えてるなんて・・・」
「・・・・幽霊は僕の管轄外です!怖いじゃないですか!・・・・」
冗談かと思ったら、本気で「幽霊かも」と怯えている。なんなんだ。
しかも「幽霊が見えて~」とか言っちゃう霊能者もどきではなくて、ガチの霊能者なのに。
「・・・・生きている人だったみたい。エレベーターに乗ってった。良かった・・・・」
どうやらただの住民の方だったようだ。
どうにも取り繕う事もできず、心の声がダダ漏れた。
「マジ情けないっすね」
私の冷たい声に凹んだのか、「もう帰ります・・・」と電話を切られてしまった。
まったく、あちこちで長年神事をとりおこなってきたような人が、幽霊如きであんなに大騒ぎするか。いや生きている人だったんだけれども。
いや・・・同類だと思っていたが、「怖いモノ知らず」ランクは私の方が上だったな・・・。私はニヤニヤしながら煙草に火を点けた。