【霊視・お祓い鑑定ご相談事例】その家系の呪いはその家系が代々作り続けていたものだった
目次
「うちの家系には呪いが掛けられていて、それは代々続き、間違いなくそうなるんです」
「次は私の番なんです」
そう言って、青白い顔でご相談にこられた男性がいた。
なんでも、代々、その家系の男性が、ある年齢になると風邪のような症状が出て、
その症状が出た人はかならず死んでしまう、というものだった。
その男性は、見事にその風邪のような症状が出て、身内からも次はお前だ、と心配されているようで、
本人も、諦め半分、でもなんとかなればという気持ちでうちに依頼をしてきてくれたらしい。
確かに、生気のない顔だった。
実際のところ、これが死相というものだ、というのは誰にでも分かるのでは、というレベルだ。
私は、滅多に使わない言葉をその人に使った。
「このままだと死にますよ」
脅しではない、本当にそうだったのだから仕方ない。
こんな言葉、私だって安直に使いたくなんてない。
「でも、助けますから」
正直、100%ではなかった。
間違えばこちらにとってもリスキーな案件でもあった。
でも、できる限りを尽くすのは我々のやり方だろう。
迷いなんてなかったよね。うん。
そうしてまず、一が動く。
「名前とか出身とか、ちょっと詳しく教えてほしい」
まず、一が動く。
色々と調べて、現実的・歴史的観点からも調査する。
霊視だけで安直に動かないのが我々のやり方だ。
霊視に頼りすぎると、それは間違いを起こす。
そこには嘘と本当が入り混じり、それを見極めながら作業を進めないと、
振り出しに戻るならまだ良いが、別の道に行ってしまい、結果を誤ってしまう。
霊視だけでズバズバと当ててくる人を、人はスゴイ・本物だと言うと思う。
それが世間の判断であれば、なんなら我々はそう思われなくても良い。
依頼者の為を思うならば、まず間違えない、それが一番大事な事だから。
一が調べてきた場所を改めて検証しつつ、
当人に動いてほしいところと、こちらで動くところを決めていく。
依頼者にしかできないことと、我々にできること、
そうして両方が動かねばならないことを決めていく。
一の情報収集力はなかなかで、割と早くに大体の話はまとまった。
結局、最低でも二箇所は、その人に行ってもらわないとならなかった。
負担をかけることになるが、それでもそれしか手段がない場合にはお願いするしかない。
動きながら見えてくるもの。
解決に向けて動きながら、新たに見えてくるものがある。
一つずつ片付けていく中で、新たな課題が見えてくる事は多々ある。
これを一発で祓い、というもので解決するなんて無理な話で、
色々な物事は、その道筋の先に隠れているものだ。
だからこそ、我々は基本的に現場主義を通す。
動く事を依頼者に伝えても伝えなくても、やっていることは同じだ。
この現場主義をあざ笑った同業者がいたが、じゃあ、机上の空論でどこまでやれるのか?
根本までの解決はそれで完了したとでも思っているのか?
笑いたくば笑えば良い。我々は現場主義をやめない。
話が逸れたが、そうして、現場主義である我々がある程度動いたところで、
根本となるものにたどり着いた。
「呪い」と呼ばれた彼は被害者だった。
再度依頼者と会っている時に、「彼」はようやく人の姿で現れた。
それまでは、明らかな「呪い」であり、人の形をしていかなかった彼が、
ようやく人の姿で現れた。これは進歩だ。
あまり喋らない彼は、この家系に呪いを残したと言われていた人物だった。
あることをきっかけに、彼がこの家系に呪いを残し、この世を去った。
そのように依頼者の家系では言い伝えられ、その言い伝え通りの事が起こっていた。
その呪いを解くべく動いていたわけなのだが、
呪いの主が人の姿になったという事は、その呪いは解決したという事になる。
つまり、この依頼者は生き延びる。
そうして、我々もリスクは回避され生き延びる。そういう事になる。
「助けますから」の約束は、この時点で果たされた。
一旦、我々は安堵した。
それから、その彼の話を聞くことになった。
そうして見えてくるもの。
彼は別に「呪い」なんて残していなかった。
彼はその一族からいじめ抜かれ追放された者ではあったが、決して呪う気持ちなぞ持っておらず、
また、何かの未練も悔いもなく、普通にこの世を去っただけだった。
しかし、彼の死後に、彼をいじめ抜いた側に不幸があった際に、
罪悪感からであろうが、その不幸を「彼からの呪いだ」と言い出した事がきっかけとなり、
彼は「呪いの人」となってしまった。
最初は一つの出来事へのこじつけだったはずだ。
しかし、不幸がある度に、「彼からの呪いだ」と言われ続けた結果、
彼に塗りたくられた「あいつのせいだ」という感情により、彼は「呪いの人」となり、
そうして彼の意思も意図も奪われ、彼は呪いを継続させるための入れ物となってしまっていた。
依頼者の家系に続いてきた、
その家系の男性が、ある年齢になると風邪のような症状が出て、
その症状が出た人はかならず死んでしまう、という法則は、
生きていた人が作りだしたものであり、それをやめさせなかったのも、生きている人だった。
彼は「僕は呪っていない」と言った。
それ以外、あまり言葉を発さない彼であったが、生前から物静かな人だったのだろう。
だからこそ、生前もいじめ抜かれ、死後もまた、彼のせいにされたのだろう。
間違ってもそんな事をするはずはない、真っ直ぐな青年だった。
「もう上がります」と言われるまで。
依頼者の承諾を得て、彼をしばし我が家で預かる事とした。
もう家系には何も起こらないのだから、
あとは彼がちゃんと、塗りたくられた呪いから解放されれば良いだけで、
それは数ヶ月もあれば解決する事であった。
彼に「地元の海を見に行くか」と聞いたらついてきて、
静かに助手席に座った。
丸一日かけて彼の地元をめぐり、また、他の場所へも連れて行った。
どこに彼の記憶と強くつながる場所があるかは分からないが、
彼はよく黙って助手席から海を眺めていたので、海が好きだったのだろう。
そうして数ヶ月、彼とのドライブを続けた。
お供え物で何かほしいものがあるかと聞けば首を横に振り、
まるで無欲な彼だったが、出かけるという時は必ずついてきた。
記憶の大半を失ってしまった彼だから、どこに行きたいとも言わず、
また、どこに行ってもなかなか反応を示さなかった。
それでも、海だけはよく見つめていたので、そこに記憶の取っ掛かりがあると信じて、
彼とのドライブはなるべく海を通るようにしていた。
そうこうして語らない彼と数ヶ月過ごして、
遠慮がちながらもやっとお供え物にも手を付けるようになり、
だいぶ人間らしくなった頃に、ある場所で彼は言った。
「もう、上がります」
彼がようやく解放された瞬間だった。
「そっか、気をつけて」
友達を見送るように声をかけた。
丁重に頭を下げて、彼はそのまま少し離れた場所まで歩いて行き、
そうして、再度振り返り頭を下げ、そうして消えた。
私は安堵し、まず一と平良に報告し、
それから依頼者へ報告をした。
「彼が救われたのなら良かったです」
依頼者は言った。
そうして、
「彼は呪いとして扱われ、彼として存在する事ができなかった。そんな彼が報われてほしい。彼の軌跡を残してほしい。」
だから、こうして記事に残してくれて良い、ということで、許可をいただいて書いている。
その依頼者も、あの青白い顔から血色の良い顔色にすっかり戻っていて、
とても精力的に人生を謳歌すべく動き始めていた。
この点についても、我々はとても安堵している。
本来生きる力の強い人だ。これからの人生を切り拓き、きっととても強くて優しい人になるだろう。
もっと、彼の事で伝えてほしい事があったと思う。
私の文章力ではそれはちょっと叶えられなかったと思う。
しかし、彼が存在したことと、そうして、その彼に対して、気持ちを向けてくれた依頼者への感謝の気持ちを込めて、
この記事を残して置く事にする。