「はじめが聞く」”霊能者が回答する”神社・神宮・大社・宮・・・。神社って呼び方がたくさんあるけどその違いって何?
BLOGコラム「はじめが聞く」★教えて巫センパイ神社仏閣基礎知識
弟子で祓い屋の一(はじめ)が、「みなさんから寄せられた質問」を巫に持っていってに答えてもらう、「はじめが聞く」のコーナーです。
目次
今日の質問「氏神・産土神・鎮守の違いって何?」
今回いただいた質問は「神社・神宮・大社・宮・・・。神社って呼び方がたくさんあるけど何が違うの?」という内容です。
たしかに、神社が好きでも、実のところよくわからないよね。
なんとなく感覚で理解しているけど、説明はできないかも。
知っておくともっと楽しく神社巡りができると思うし、簡単に説明できればと思うよ。
神宮・大神宮・大社・宮・神社・社、「社号」は6種類
「神宮」神社」というのは、「社号」といい、その基準は「祀られている神様」にあります。
神社はそもそも、日本古来の宗教である「神道」の祭祀をおこなう施設のことです。
神道は、「多神教」であり、自然そのものを神と考え、この世のものすべてに神が宿る、という「八百万の神」という教えがあります。
これは、生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方で、
神道は教祖や教典が存在しないものです。
その神社の社号は6種類。
・神宮
・大神宮
・大社
・宮
・神社
・社
です。これを順番に説明していこうと思います。
神宮・大神宮について
神宮は「皇室、または皇室と深いかかわりを持つ人物や神器を祀っている神社」
「神宮」と名乗る神社は、現在は全国で24社です。
もともとは、「神宮」といえば伊勢神宮の正式名称であり、現在の伊勢神宮は通称です。
伊勢神宮には、天皇の祖神とされる「天照大神」が祀られており、日本の神が御座す宮殿=神宮であり、すべての神社とは別格の扱いとなっています。
そうして、奈良時代になり、「日本書紀」に記載されたものは、「伊勢神宮(内宮・外宮)」「石上神宮」「出雲大神宮」の3つだけでした。
次に平安時代に作成された「延喜式神名帳」には、「伊勢神宮」「鹿島神宮」「香取神宮」「八幡大菩薩宇佐宮(宇佐神宮)が記載されました。
明治時代になると、神宮という社号が日本各地にみられるようになりますが、第二次世界大戦終戦までは、神社は国家の管理下にありました。
つまり、天皇の許可が必要だった、ということです。
そうして終戦を迎えると、神社の国家管理と社格制度が廃止され、神社が自由に「神宮」を名乗ることができるようになりました。
しかし、神社本庁に属している神社は、なにかしらの承認理由が必要で、なかなか神宮を名乗ることは難しい、といわれています。
「神宮」24社一覧
・伊勢神宮
・伊弉諾神宮
・霧島神宮
・鹿児島神宮
・鵜戸神宮
・英彦山神宮
・橿原神宮
・宮崎神宮
・気比神宮
・宇佐神宮
・近江神宮
・白峯神宮
・平安神宮
・赤間神宮
・水無瀬神宮
・吉野神宮
・北海道神宮
・明治神宮
・熱田神宮
・石上神宮
・鹿島神宮
・香取神宮
・国懸神宮
・日前神宮
※他に、通称として「神宮」号を冠する神社(河尻神宮、西岡神宮、山辺神宮、幣立神宮)もあります。
国懸神宮や日前神宮のように、神社庁に属していない神社もありますし、そもそも神社の国家管理と社格制度は廃止されているので、名乗る事は禁止されていません。
「大神宮」とは
「大神宮」とは、本来は伊勢神宮の内宮である皇大神宮と、外宮である豊受大神宮のことをさします。
過去には両宮を併せて伊勢大神宮・大神宮・二所大神宮などと呼ばれていたこともあります。
伊勢になかなか行けない人のための、伊勢の遙拝殿、として公式に認められているのは東京大神宮です。
現在では、伊勢神宮から勧請した「天照大神」をお祀りしている神社も大神宮を名乗っているケースが多いです。
○○の伊勢、ということで「大神宮」「皇大神宮」を名乗る神社を見かけたりしますね。
皆、伊勢へ行くことは簡単ではなかった時代がある、ということでしょう。
よく誤解されますが、神宮より上、という意味ではありません。
「宮」とは
こちらも神宮と同じく、皇室と関わりの深い神社です。
「宮」は、親王と呼ばれる天皇家の男子や、歴史上で重要な人物が祀られています。
崇道天皇(早良親王)を祀る「崇道天皇宮」や、菅原道真公を祀る「太宰府天満宮」、徳川家康公を祀る「日光東照宮」などが当てはまります。
大社について
「大社」は社格が高かった神社(旧官幣大社や旧国幣大社などや、全国にある同名のであり同じ神を祀った神社の総本社の社号です。
(お寺でたとえると「総本山」と似たような意味ととらえてください。
稲全国の荷神社系列の総本社である「伏見稲荷大社」や、全国の春日神社の総本社「春日大社」などがそれにあたります。現在では24の大社が存在しています。
本来は大国主神(おおくにぬしのかみ)」を祀った「出雲大社」を指す社号であり、「大社(おおやしろ)」といえば「出雲大社」をさしていました。
ちなみに、出雲大社は「いづもたいしゃ」ではなく、もともとは「杵築大社(きづきのおおやしろ)と呼ばれており、出雲大社に改称した現在は、「いづもおおやしろ」と呼ぶのが本来は正しいです。
「大社」24社一覧
・出雲大社
・熊野大社
・三嶋大社
・富士山本宮浅間大社
・諏訪大社
・気多大社
・南宮大社
・多度大社
・多賀大社
・建部大社
・日吉大社
・春日大社
・龍田大社
・廣瀬大社
・伏見稲荷大社
・松尾大社
・梅宮大社
・住吉大社
・大鳥大社
・熊野本宮大社
・熊野速玉大社
・熊野那智大社
・宗像大社
・高良大社
「神社」はもっとも一般的に用いられる社号
江戸時代までは「神社」「お寺」は明確にわかれていませんでした。これを神仏習合といいます。
明治時代に神仏判然令(神仏分離令)が出され、神仏習合の慣習を禁止し、神道と仏教、神と仏、神社と寺院とをはっきり区別させなければならなくなり、その際に「神社」というう呼び名で統一されたものです。
時々、神社なのにお寺のようにお線香やロウソクがあったり、権現や明神が祀られていたりするのは、その神仏習合の名残です。
「社」はもっとも小規模なもの
大きな神社から御祭神を勧請した、小さな神社の社号です。
社(やしろ)、これは「屋代(やしろ)」からきている言葉で、「代(しろ)」は神を祀るために清められた場所という意味があり、そこに建てられた祭壇といった意味になります。
大きな神社には「摂社」「末社」と言われる、境内の中や近くに祭神に縁のある神様を祀った神社があるのをみかけたことがあるかと思います。その中でも小規模なものは「社」と言われることがあります。
今回はここまで。まだまだ伝えたいことはあるけれども、長くなったのでそれはまた別の記事にしよう。
歴史の流れで変化する神社仏閣。基礎知識の範囲でもまだまだお伝えしたい事はたくさんあるね。