「呪詛返し」呪詛の話と呪詛返しを食らった話。【霊能者が見るセカイ】
目次
「呪詛返し」という言葉は広く知られていると思う。
よく人を呪わば穴二つ、というけれど、呪詛返しは「ある」。
それは呪詛使いでもある私は断言する。
そもそも呪詛なんて簡単に使うモノではないし、寿命を縮めるモノである。
安易に使ってみたいというのであれば全力で止めるし、こんなセカイには触れない方が良いと思う。
ただ、人の思いのチカラってすごいので、意図せず呪詛を掛けてしまう事はある。
意図せず飛ばす念のイメージとしては生霊なんかが分かりやすいのではないだろうか。
生霊を飛ばしてやる!なんて思って飛ばしている人は実は結構少なくて、マイナス感情が一瞬強くなった時に「うっかり」飛ばしてしまう事もあれば、相手を好きすぎて「うっかり」飛ばしてしまう事も多々ある。本人にも自覚はないのでとても厄介だ。
生霊っていうのはとても祓うのが難しい。
飛ばしている相手が生きている上に自覚がない場合が大半なので、何度でも送る事が出来るので、エンドレスになりかねない。
一番簡単なのは、本人に生霊を飛ばすのをやめるように言う事だと思うのだが、もちろん本人に自覚はないのでケンカになるだけだと思う。
ただ、本人も意図せずとは言え、自分自身のエネルギー体の一部を相手に飛ばしてしまうので、本体は消耗して体調を崩したり良くない事が起こったりと、まあ影響はある。
生霊を無意識に飛ばしている人は、見る人が見れば一発で分かる。
人を呪わば穴二つ
そしてここで「人を呪わば穴二つ」。
生霊を相手に返すという事は、呪詛返しと同じ事が起こる。
生霊を飛ばす=呪詛を掛ける事と同義で、返したところで相手はやはりダメージを食らうわけだ。
更に体調を崩したり良くない事が起こり続けたりと、まあ良い事はない。
つまり、典型的な、「人を呪わば穴二つ」現象が起こるわけだ。
正直、飛ばしている側に対しては「生霊を飛ばすな」としか言いようがないし、それ以外に飛ばす事を止める術は知らない。
では呪詛は、というと、相手に気づかれなければ返ってこない。
(ここは流派とかやり方にもよると思うので、あくまで私の話として聞いていただけるとありがたいと思う)
気がつかれて、相手にそれなりの能力があれば返ってくるし、飛ばした時点で相手のガードが強ければ返ってくるし、飛ばすのに失敗したら返ってくるし、で、実は全然良い事なんてないと思う。
では、呪詛返しを食らった時の話をしよう
少し前に呪詛の依頼を受けた事があったが、今回は結構危ないかもしれないという覚悟で行った。
呪詛を掛けた相手の後ろにいる能力者が強かったからだ。気が付かれて瞬時に仕返しを食らう可能性が高い依頼だった。
普段の私は、依頼があった際には非常に慎重かつ気を抜く事なく作業をするのだが、その日は、ほんの一瞬油断をした。
意図せず他人を巻き添えにしそうになり、そこに気が逸れたという、とても簡単な理由だった。(これも向こう側の狙いかと言えばそういう事になる)
一瞬の隙で仕返しを食らった私は、「しまった」と思った瞬間にはもちろん遅く、その直後から高熱を出し、嘔吐を繰り返しながらのたうち回るしかなかった。
病気なら寒気がするなあ、なあ、などと予兆があると思うのだが、その少し前の私はマックでグラコロを食らうぐらいに元気だっだんだ。
これは自分のミスである。気が逸れたのは自分のせい。
そう言い聞かせながら、フラフラになりながらその場を離れて、休み休み車で移動をし、なんとかその日泊まる予定だった宿についた。
そこからの記憶はあんまりない。
ホテルの部屋にある高い冷蔵庫にあるドリンクを片っ端から開けて一気飲みしては嘔吐していたようで、朝になって空のペットボトルの山を見てびっくりした(金銭的に)。
調子が悪いので寝かせてくださいという訳にもいかないので、なんとかチェックアウトをし、それからまたなんとか運転をして、ショッピングモールの駐車場に車を置いて、ずっと車の中で丸くなっていた。
もちろんそう簡単に熱は下がらない。予定外だったが、もう一泊宿を取ってそこでまたずっと丸くなって過ごすしかなかった。
命が取られなかっただけでも本当にラッキーだ。
本当に、心からそう思った。生きていられるだけでも奇跡だ。
ちなみに、翌日、吐き気止めだけでも貰えないものかと一応病院へ行ってみたら、医師の診断は急性腸炎、という事だった。
症状からするとそれで正しいと思う。吐き気止めと解熱剤をゲット出来たので少し安心した。(ありがたい事に、解熱剤は効かなかったけど、吐き気だけはだいぶ抑えられた。)
知人に報告したら、「油断しましたね」ととても冷たい声で言われた。
ハイソウデスネ、と答える事しか出来なかったが、実際その通りである。
その後に「死ぬよ」と言われたが、「いつそうなっても仕方ないと思っている」と答えたら、出たよ…という感じでため息をつかれた。
いや、覚悟がないと出来ないからな。と笑って見せたものの、なんだかんだと口では覚悟をしていると偉そうな事を言いながら、食らった自分は、うなされながらもみっともないぐらいにまだ死んでたまるか!と繰り返し呟いていたのも事実。覚悟の甘さも思い知った気がする。
この「呪詛返し」の話は、「かなり軽く済んだ呪詛返し」の話だ。実際はこんなモノでは済まない。
がしかし、許せない仕打ちを受けたら、相手を呪いたくなる気持ちはすごく分かる。私も沢山経験してきたから。
だからこそ私はこれからもそういう人たちの依頼を受ける。その手段でしか方法がない人の為にね。
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